Auf heben その5★

「ねえ、絢?」
「なに?理沙ちゃん。」
暖かくて嬉しくて幸せな気持ちに浸りながら甘えた声を返してしまったことに、気づくはずも無い。
「こんなキスはどうかな?」
再び理沙ちゃんが私の唇に自分の唇を押し当てると、舌で私の唇を撫で始めた。
「ん・・・」
くすぐったくなって少し口を開けると、そのまま私の口の中に理沙ちゃんの舌が滑り込んでくる。
「んっ!んんっ!」
驚いて顔を離そうとしても、しっかりと私を抱きしめる理沙ちゃんの腕から逃れられるわけが無い。
私の舌を絡め取るような動きで暴れまわる理沙ちゃんの舌が、私の意識を攫う。
未体験の刺激に、脳がぼうっとしてきて、抱きしめていたはずの理沙ちゃんに回す腕が下がっていく。
「ちゅっ・・・じゅっ・・・ちゅちゅっ・・・」
二人の唇から溢れる音と、唾液を吸い取られる感覚に、どんどん身体が熱くなる。苦しくなる。

デモ、キモチイイ・・・

すっかり私から力が抜けた頃、理沙ちゃんの舌と唇、そして腕が離れて行く。
「はあぁ・・・初めてなのに、すごいキスしちゃった・・・」
頬が真っ赤になった理沙ちゃんの瞳はすっかり潤んでいて、唇の端が少しだけ蛍光灯の明かりに光っている。
「あは・・・はぁ・・・理沙ちゃ、すごすぎ・・・」
「どうだった?今のキス。私も初めてだったけど・・・」
唇の端をちろりと舌で舐め、私の表情を伺いながら理沙ちゃんが尋ねる。
「う、うん・・・くすぐったくて、気持ちよくて、ボーっとしちゃって・・・」
まとまらない感想が、だらしなく脳みそから零れ落ちていく。
「感じちゃった?」
「う、うん・・・。」
「私も・・・」

恥ずかしそうにそう言った理沙ちゃんが俯いた瞬間、身体の芯がカーっと熱くなった。
「絢が可愛いから、そう思えるんだよ?」
「理沙ちゃん・・・」
照れくさすぎて、こぼす苦笑いまでも甘い。
「絢、目がウルウルしちゃってる。気持ちよかったなら、さ・・・」
「うん?」

「もっと先までいっちゃおっか。」
もっと、先?

意味を持たずに入ってきた言葉は、突然意味を構築して私の中で爆発した。
う、う、うそ・・・そんないきなり。
でも、折角理沙ちゃんがそう言ってくれてるんだし。
そんな言い訳がほんの少し浮かんだけど、流されていいと思った。

「い、いいよ。理沙ちゃんなら・・・」
顔から火が出ているような熱さが、自分自身を焼いているような感覚すら覚える。
「ありがと。絢がそう言うなら・・・わたしでいいなら・・・」
理沙ちゃんの手が、私のブレザーのボタンを外す。
「ううん、理沙ちゃんでいいんじゃなくて、理沙ちゃんじゃなきゃ嫌。」
ブレザーから腕を抜きながら、理沙ちゃんの肩に頭を預ける。
「絢、その言い方可愛すぎ。じゃさ、一人でも脱げる?」
「うん・・・」

そう言って二人ともリボンタイを解き、ブレザーとブラウスを脱ぐ。
いつも体育で着替えるときには気にならないのに、今はその存在がすごく気になる。
「あ。絢。ブラは私が外してあげる。はい、後ろ向いて。」
私の手が止まっていたことを察してか、理沙ちゃんの申し出を受けて後ろを向く。
日が既に暮れかけている事も、今の私の頭には入ってこない。
ホックが外されて、肩紐を外すときに理沙ちゃんの指先が触れて背筋が跳ねたとき、
小さく、ふふっと笑う声が聞こえて恥ずかしさが込み上げる。
ポニーテールを束ねていたゴムを解かれて、自分の髪が背中に触れたことで、更に鼓動が跳ね上がる。

「はい。回れ右。」
理沙ちゃんの声に振り向くと、私と同じスカートだけの格好になった理沙ちゃんが真っ赤な顔で微笑む。
恥ずかしさで少し下がった視界には、理沙ちゃんのおっぱいがどうしても入る。
「絢、ステキな胸。白くて、可愛い。」
その言葉に、理沙ちゃんも私と同じでおっぱいに目が行ってる事を意識してしまう。
「そ、そんなこと・・・理沙ちゃんは胸大きいから、うらやましい。」

視線をそこから外せないまま、少し拗ねてみる。だって、私Bカップだし・・・
「んーん。わたし部活で走ってるからだけど、絢くらいの方がいいよ。ほら。」
そう言って伸ばされた手が私の左胸を包み込んですぐに離れた。
「わっ・・・すごいドキドキしてる・・・大丈夫?」
驚いて心配そうに私を伺う理沙ちゃんを安心させるため、すばやくキスをする。
「うん。いいよ。続けて。」
「ふふっ。ありがと。じゃ、触るね。」
理沙ちゃんの右手が、私の左胸をふくらみに沿ってそっと撫でる。
優しいタッチに、ぞわぞわと鳥肌が立つ。
程なくして左手も加わり、理沙ちゃんは無言で私のおっぱいを撫で続ける。
指先にほんの少し込められた力で自分の胸の形が変わる様を、凝視してしまう。

 

 

 

 

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