Auf heben その8★

「あっ・・・はぁっ・・・はあぁっ・・・」
絶え間なく零れる私の声に、理沙ちゃんの指と舌は止まらない。
特に、舌のぐにぐにぬるぬるの刺激が、私の意識を何度も小さく飛ばす。
「理沙ちゃ、だめぇ、きも・・・気持ちいいよぉ・・・」
机の脚に足を絡ませて、理沙ちゃんを振り落とさないよう腰が動くのを必死にこらえる。
私も理沙ちゃんを気持ちよくさせてあげたいのに、全く体が言う事を聞かない。
涙に滲む視界は、ピンク色のモザイクが掛かっているような世界しか映し出せない。

「絢・・・入れてみるね?」
その言葉は、私には入ってこなかった。
理沙ちゃんの指が、私の膣口を探り当て、小さく掻き回してからゆっくりと中に入ってこようとする。
「いっ!・・・痛っ!・・・」
火傷のような痛みが敏感な部分に走り、一瞬跳ね上がった身体が理沙ちゃんごと浮き上がる。

一瞬間があって、結局指はそれ以上入ってこようとはせず、再びクリトリスに指と舌が集中する。
「ふあぁ、理沙ちゃ、もう、もうだめぇ・・・」
「いいよ、絢。」

ダメなのに、いいよ?

そんな言葉の意味を気にすることも出来ず、私の意識が高まってくる。
クリトリスを指で摘まれ、舌で転がされ、口で吸われ、私にはもうどうにも出来なかった。
「ひあっ!はぁっ!も、ダメ、理沙ちゃ、理沙ちゃぁぁんっっ!!」
最後にクリトリスを吸われた瞬間、全身の筋肉が硬直し、視界が白く弾けた。
理沙ちゃんを上に乗せたまま、ビクンビクンと背筋を跳ね、私は理沙ちゃんにイかされてしまった。
「は、はぁ・・・あはぁ・・・」
ゆっくりと全身が弛緩し、重なる理沙ちゃんの感触が心地よい。
と、不意にふっとその重さが消え、闇の中に置いてけぼりを食ったような気がして、慌てて目を開ける。

理沙ちゃんは、自分の鞄からハンカチを取り出して、私の涙と唇を拭いてくれた。
「あ、ありがと・・・理沙ちゃん・・・」
まだ感覚が戻りきらない私の身体は重く、理沙ちゃんが私のアソコも拭いてから服を渡してくれるまで、
起こすことすら出来なかった。

快感の余韻が引いていくにつれ、今度は恥ずかしさと幸せが入り混じった複雑なものが入ってくる。
理沙ちゃんの複雑な表情も、それと同じものなのかな・・・
心配だけど、どうも恥ずかしくて聞けない。

 

結局、理沙ちゃんは私が着替え終わると目を合わせようともせず、二人で逃げるように教室を後にした。
校門を出ても、電車に乗っても、理沙ちゃんの家の近くでも、一言も言葉を交わさずに来てしまった。

そして、理沙ちゃんの家の一軒手前で、どちらからともなく足が止まる。
「あの・・・」
口を開いたのは、私だけだった。
「今日、呼び出されたのって、どうしたの?」

ちらりと理沙ちゃんを見てみても、顔を上げる様子は無い。
それから少し間があって、理沙ちゃんが口を開く。

「来年の陸上部キャプテン、やってみないかって。しつこかったけど、試験前だから考えさせてって言った。」
「そ・・・なんだ。」
たぶん、理沙ちゃんが暗い理由はそれじゃない。
なら、なおさら聞きづらい。私のせい、なのかな?

そう思って俯くと、理沙ちゃんが一歩踏み出してしまう。
「あ、理沙ちゃん!!」
二歩目で立ち止まった理沙ちゃんに、なんと言ったらいいかわからない。
「あの・・・また、明日。」
「・・・うん。」
振り向くことなく、入り口の門に吸い込まれていく理沙ちゃんは、なんだかいつもより小さく見えた。
玄関のドアが開いて、バタンと閉まっても、私はその場に立ち尽くしていた。

一陣の風が、小さく枯葉を巻き上げて去っていった。

 

 

 

 

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