Auf heben その11★

それから家に帰った私は、夕飯を終えると勉強もせずベッドに倒れこんだ。
私がこんな状態の時、母は私に話しかけない。
それは放っておいてるんじゃなくて、喋りたくない事を聞きはしないという優しさだと私は知っている。
今ほど、それがありがたいと思ったことは、かつて無かった。

「はぁ・・・理沙ちゃん・・・」
使い慣れたベッドの匂いに少し落ち着くと、やはり理沙ちゃんのことが気になってしまう。
電話じゃなくて、直接会わないとこの不安は拭えない。

とにかく会って、話したかった。訊きたかった。
「理沙ちゃん・・・私の事、嫌いになっちゃやだよぉ・・・」
改めて口に出すと、余計に怖くなる。不安になる。
考えがどんどん悪い方に転がっていき、涙が溢れる。
瞼に焼きついた理沙ちゃんの笑顔が私の心臓をわしづかみにする。
布団に包まって、その痛みに耐える。

そして、耐えるために、私の手はショーツの中へと潜り込んで行く。

昨日初めて、理沙ちゃんに触られた場所。
それを思い出すかのように、中指の先で柔らかい部分をなぞる。
「ん・・・」
布団の中で、ぴくんと腰が疼く。
「だめ、こんな時間から・・・」
歯止めを掛けようとする理性が絞り出した声も、私の寂しさを止められなかった。
じわじわと快感をもたらす指の動きが、昨日の理沙ちゃんの幻影とリンクする。
「は・・・理沙ちゃん・・・」
指に触れるクリトリスが、少しずつ敏感に、少しずつ硬くなってくると、腰に甘い痺れが渦巻く。

「ん・・・くあっ・・・」
その指を少し下げ膣口を探ると、既に愛液が溢れ始めていて指にまとわりつく。
「ふあっ・・・」
そう言えば、昨日理沙ちゃんがココに指を入れようとしたときに私が痛がったから、機嫌悪くなったんじゃ・・・
そんな勝手な思い込みが、脳を支配する。
仕方ないじゃない。タンポンだって滅多に使わないし、自分でも入れたこと無かったし・・・

じゃぁ、今しておけば?

そんな悪魔の囁きに、今の私が抗えようはずも無かった。
目を閉じ、溢れ出た愛液を指に纏わせ、ほぐした膣口にゆっくりと侵入させてみる。
「んっ・・・い・・・う・・・」
この前の理沙ちゃんの指ほどじゃないけど、少し、痛い。
それでも理沙ちゃんの為と思えばこそ、指を奥に進めて行く。
膣内の襞が擦れる感じと、入り口が巻き込まれる感じがして、その両方に別々の痛みが走る。
やがて、私の指が入るところまで入ったが、額に苦々しい汗が湧き出ている。
「は、あ、やっと・・・入った・・・」

私の指は、呼吸に合わせてひくひくと蠢く熱いぬるぬるに締め付けられている。
まだじんわりと痛いけど、指を小さく動かしてみる。
「ん・・・く・・・」
痛みと、痛くない感覚に、背筋に力が入る。
「ん・・・ふ・・・」
徐々に痛みが和らいできて、痛くない感覚の正体が現れ始める。
もう片方の手でクリトリスに触れると、一段ときつく、膣が私の指を締め付ける。
「はぁ・・・これ、なにこれぇ・・・」
指は締め付けられても気持ちよくないけど、その指を締め付ける襞が気持ちいい・・・気がする。
私の中なのに私の意志で動いてる訳ではない不思議な感覚に戸惑いながら、クリトリスに刺激を与え続ける。

「あ、どうしよ・・・すぐイっちゃう、かも・・・」
今までに無い快感が、膣の裏側から弾けて、クリトリスとともに吹き飛ばした。
「はぁっ!!はあぁぁっ!!」

太股で手をぎゅうっと挟み込みながら、ビクンビクンと全身を震わせる。
指先が、搾り取られるように膣のうねりに巻きこまれて出られなくなる。
自然と身体が丸まって、そのまま快感が収まるのを待つ。
「あ・・・はあぁぅ・・・」
ぐったりと脱力し、布団に簀巻き状態のまま余韻に浸る。
枕元のティッシュを引き抜き、もそもそとショーツの中を片付けて、指も拭く。

やっぱり、寂しいままだ・・・
「はぁ・・・理沙ちゃん・・・」


 

 

 

 

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