Beams その23★


それからお互いに無言のまま、ゆっくりと、一つずつ、千河の手によってボクの制服がボクを離れていく。
時折千河の指がボクに触れて、ゾクッと身体が震える。
でもそれは、決して嫌な感覚ではなかった。
くすぐったいだけじゃない。『好き』な人に触れられること。

新しくボクの内から生まれた感覚に浸るうちに、ボクは下着だけにされてしまってベッドに逆戻りする。
どこも見ていないボクを覗き込むように千河が追いかけてきて、見たこともない表情になる。
「まゆ。まだ戻っちゃダメ。」
どことなく妖しげな微笑を浮かべたその千河の唇に、視線が吸い込まれてしまう。
「え・・・」
ふわりと抱き締められたまま上体を起こされて、背中に回された千河の手が1回、2回、3回目でやっと
ボクのブラのホックを外す。

ボクのブラは千河に手を掛けられたまま離れて行き、腕から抜けると小さく畳まれてボクのすぐ横に置かれた。
気温は低く無いはずだけど、火照った肌が外気に晒されて少し肌寒いような気がする。
口を半開きにしたまま、千河は食い入るようにボクの形のいいおっぱいを見つめている。
部活で水着に着替えるときは、ボクはバスタオルで隠さないで着替えてるし、見られても気に留めないけど、
千河に、まじまじと見つめられたりしたらやっぱり恥ずかしいね。

胸の前で腕を組みたい気持ちを必死に堪え、強く目を閉じて唇を結ぶ。
そんな気持ちに耐えていると、千河の指がボクの腰骨のあたりに触れた。
その意味は・・・うん、いいよ。千河なら。
ボクが少し腰を浮かすと、お尻、腿、膝、脛、足首、爪先と、一気に布の線が滑り落ちた。

今迄で一番鼓動が速く、強くなる。
ベッドに沈み込んだボクは、無意識に右腕で目を覆って身を硬くする。
きっと、今ボクはすごい勢いで千河に見られてる。
どこを見ているの、千河?
千河が見たかったボクは、見せてあげられてるのかな?

物音一つしないまま、不安な時が過ぎてゆく。
あぁ・・・千河、せめて何か言ってよ・・・
暗闇の牢獄に閉じ篭もったボクはどうしたら良いのか判らず、ただひたすら待ち続ける。
と、願いが通じたのか、ぽつりと千河が言葉を漏らす。

「うそ・・・まゆ、ごめん、あたし・・・」
震える千河の声が気になったボクは右腕の蓋をどけると、ボクを覗き込んだまま固まっている千河が
今にも崩れ落ちそうな表情を湛えていた。
「千河・・・?どうしたの?」
状況が飲み込めず、それ以上の言葉は続かなかった。
それでもボクの声に気づいた千河が、ちらちらと視線を彷徨わせながらその理由を答える。
「ま、まさか、まゆのコト泣かしちゃうなんて、思わなくて、あたし、調子に乗ったから・・・」

あー。そーゆー事か。
千河はボクが目を覆ったことで泣いたんだと思ったんだね。
まったく、今日の千河は慌てたり勘違いしたりで世話が焼けるなぁ。
「泣いてないよ、千河。恥ずかしかっただけ。だって、こんなにドキドキしてるんだよ。ボク。」
でも、それもイヤじゃない。
そのひとつひとつが、ボクと千河の距離を縮めるから。
「あ・・・ちょ・・・」
千河が胸元に握り締めていた右手を、ボクの左胸に当てる。
「ほら・・・ね?」
自然と開いた少し冷たい千河の手を、離れないように押し付ける。
急な出来事で言葉を失った千河が、ボクの目と、自分の手とを何度も見比べる。

「千河・・・ 見るだけじゃなくて、触ってもいいよ。 千河なら・・・」
そう言ったボクが出したビームは、一体どんなビームだったんだろう。
自分でも見たことも、想像したこともない、その一撃を浴びた千河が飛び込んできて、激しく唇を重ねる。
「っっ!!」
あまりの勢いにボクの身体はベッドへ逆戻りし、歯がぶつかりそうな勢いの千河の口付けが何度も続く。
「ん、んんーっ!」
ボクが喉から振り絞った声に、千河が唇を少しだけ離して涙と一緒に言葉をこぼした。
「ごめんね、まゆ。 ・・・好きなの。止まらないの。 ごめんね・・・」
少し硬いグロスをまたボクの唇に押し付けながら、ボクの左胸に当てられたままだった手を、千河はおっぱいを
包み込む位置へと動かして優しく力を加える。

ちょっ・・・千河、激しいよ・・・

 

 

 

 

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