Beams その25★


千河の指がクリトリスをゆっくり転がすと、ボクの腰に甘い痺れが走る。
「んっ・・・」
周期の短い息が敏感な部分を何度も掠め、小さな快感のリズムを刻む。
「まゆ・・・すごい、熱くなっちゃって・・・」
汗ばみ始めたボクの身体を撫でながら、千河は嬉しそうにボクの陰唇に口付ける。
「んんっ・・・ダ、ダメ、千河、そこ、汚いからぁ・・・」
とっくに限界だと思ってたのに、更なる恥ずかしさが押し寄せてくる。
途切れ途切れの声で千河に訴えかけるも、受け入れられる筈が無かった。

「そうよね・・・まゆにだって汚いところはあるんだから、あたしがキレイにしてあげる。」
千河の頭がボクの脚の間に沈み込んで、ちろりと膣口に舌を這わせる。
「んぁ・・・」
勝手に声がこぼれ、腰が跳ねてしまう。
「はぁ・・・まゆ、可愛い声、もっと聞かせて?」

千河の舌がボクの膣内から愛液を掬い出し、包皮の中で硬くなったクリトリスを誘い出すように塗りつける。
「はっ・・・はぁぁぅ・・・」
粘膜同士が擦れ合う初めての感覚に、全身が桃色の快楽に溶けてゆく。
ボクの内腿を撫でながら、千河の舌先が剥き出したクリトリスを執拗に転がし続ける。
「い、いやぁん・・・千河、それ、すご、んあぁん・・・」
伝えようとしても、快感に染まっている脳は必要な言葉を探し出すことが出来ない。
「気持ちイイの?まゆ? 気持ち良かったら、気持ちイイって言って?」

ボクは何度も首を縦に振り、もたらされる快感に腰を捩じらせてしまう。
「イイ・・・千河、気持ちイイの・・・ボク、こんなの、んっ、初めて、なのにぃ!」
千河の唇が、ちゅっとボクのクリトリスを吸い込んだ瞬間、意識が軽く弾けた。
カクンと腰が跳ね、股間が千河の顎にぶつかる。
「あはぁ・・・まゆ、ステキ・・・嬉しい。」

ボクがボクには行えない舌での愛撫に、ただ声を漏らして千河に身を任せる事しか出来ない。
「ふあぁぁ、千河ぁ、ダぁメぇ・・・おかしく、なっちゃ・・・」
頭の横で握り締めた両拳を震わせながら、涙にぼやけた視界で必死に千河を探す。
「いいよ。まゆ。おかしくなって・・・あたしにされて、おかしくなって?」

膣口から愛液を吸い出され、クリトリスを少し強めに押し潰すように摘ままれて、返答すら出来なくなってしまう。
「ああぁっ、はあぁ、千河、も、ボク・・・」
溶けた思考の中からなんとか絞り出した声に、顔を上げた千河はきっと微笑んでいたに違いない。
「まゆ、イクの? あたしに、しっかり見せてね?」
剥き上げられたクリトリスを指先で擦られて、言われた直後にボクの身体がふわりと浮き上がる感覚。
「あっ、あっ、あはぁぁあぁっっ!!」
ちらちらと星が舞う暗闇の中でボクの意志とは無関係に全身が激しく痙攣し、一番大きな波が意識を攫った。

自分の声すらもどこか遠くから聞こえ、ボクがボクの中から全て流れ出てしまったようにベッドへ沈み込む。
「あっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「あぁ、まゆ、イっちゃった・・・すごい・・・」
ボクの一部始終を見届けた千河が、ボクの頬に小さくキスを落とす。
荒い呼吸を繰り返しながら、少しずつ流れ出した感覚が戻ってくる。

あぁ・・・ボク、千河にこんな事されちゃった・・・

体内に戻ってきた感覚には、同時に複雑な想いが混入している。
どう整理したらいいか分からないけど、ひとまず重い瞼をゆっくりと開く。
滲んだ視界を2度瞬きして鮮明にすると、そこにはメイクがグズグズになってしまった千河が心配そうに
ボクを覗き込んでいて、その時を待っていたようだった。
「まゆ・・・大丈夫?」
消え入りそうな千河のその声に、ボクは小さく一度だけ首を縦に動かす。

「あの、あたしが想像してたよりまゆが可愛くて、ステキで、その・・・ごめんね・・・」
自制が効かなくなった事を謝ってるのかな?
すっかり眉尻が下がってしまった千河の頭に、重い手を伸ばす。
「いいよ、千河。怒らないって言ったじゃん。」
少し掠れた声が出たことに、千河の目尻が再び下がる。

「まゆは自分で言ってる通り、ホントに可愛いし、スタイルも完璧だし、あたし羨ましかった。」
ボクをぎゅっと抱きしめながら、千河はボクの耳元でぽつぽつと呟くように語る。
「あたしはいつも、想像の中でまゆをめちゃくちゃにするの。抑え切れなくなりそうな感情も一緒に放り込んで。」
ボクを抱きしめる腕に、少しだけ力が籠もる。
「でも、ホントのまゆは、表情も、声も、肌の熱さも、反応も、想像と全然違って、すごくステキだった。」
「千河・・・」
名前を呼ばれて千河の唇からこぼれた小さな溜息が、ボクの耳をくすぐる。
「こんな事したんじゃ、もう、あたし、嫌われても仕方ないけど・・・まゆの事、好きなの。それだけは・・・」

泣き出しそうな千河の言葉を遮り、ボクは首を横に向けて千河の口を唇で塞いだ。
「嫌わないよ。千河。 ボクも千河の事好きだもん。」
「まゆ・・・」
もう一度小さく唇を重ねて伝える。この気持ち。

「ありがと、まゆ。」
「うん・・・」
ボクの知らないボクを、千河は知ってる。
それってちょっとずるくて、羨ましい。
だからボクも同じくらい、いや、それ以上に千河の事知って取り返さなきゃ。
・・・ま、でも、それはまた今度かな。

「さ、千河。メイクぐちゃぐちゃになっちゃったから落としに行こう。」
一瞬だけ目を合わせて小さく頷くと、千河は力を込めていた腕をようやく解いた。

 

 

 

 

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