Jack-o'-Lantern comes to her e   その6★

 

 

「うわ・・・ 氷音先輩、めっちゃドキドキしてる・・・」
私の左胸に耳を付け、理美ちゃんは感心したように呟いた。
自分でも感じるほどの、破裂しそうなほど速くて強い鼓動を聞かれていると思うと、逃げ出したくなる。
「・・・しょうがないじゃない。」
「悪い事ないで。 ウチの事意識してくれてへんかったら、こんなんならへんもん。」
反論が思い浮かばない私の返答に、向日葵は優しく微笑む。

「氷音先輩。 怖かったり、嫌やったら、すぐ言うてな?」
そんな気遣いに、私は了承の合図として小さく頷く。
大丈夫だから。
そんな心配はしないで。
言ってあげられれば良かったのに、はっきりと言葉にするには、今の私は緊張しすぎていた。

押さえつけていた腕を解放し、理美ちゃんは私の頬に手を添える。
「安心して、気持ちようなって、な。」
逆光なのに、その瞳に妖しい光を湛えているように見える理美ちゃんが再び唇を求めて吸い付いてきた。
顎を突き出すように迎え入れた私の歯の間を割って、舌が滑り込んでくる。
「んっ! うん・・・」
ゆっくりと私の舌を絡めるように動く理美ちゃんの舌に、意識までが攪拌されていく。
「はぅ・・・ 氷音先輩も、もっとべろ動かして。」
「うぅ、はぃ・・・」
言われるがままに舌を出し、理美ちゃんの舌と擦り合わせる。
二人分の唾液に、さらに理美ちゃんからの分が加わり、ぴちゃぴちゃと立つ微かな音が私の鼓膜を愛撫する。

「あは、氷音先輩、もっとしたいん?」
その声に、閉じていた目を開け、悪戯っぽい笑みを浮かべる理美ちゃんを捉える。
「うん・・・ だって、このキス、すごい・・・」
「そやんな、ウチも、めっちゃ興奮してきた。」
もう一度だけ深く口付けをして、理美ちゃんの舌は私の顎を伝い首筋へと滑り落ちる。

肌蹴てしまった肩を撫でながら、理美ちゃんは頬擦りしながら徐々に体の位置を下げて行く。
動く度に肌に触れる癖っ毛が、くすぐったいだけでない感覚にすり替わって私の身体に熱をもたらす。
「氷音先輩の肌、すべすべや・・・ えぇなぁ、ウチ、すぐ肌がカサカサなんねん。」
「これから乾燥してくるから、気を付けないとね。」
「えへ、ありがとう、氷音先輩。 優しい、嬉しい。」
ベッドと背中の間に両掌が滑り込んできて、痛いくらいに抱き締めてくる理美ちゃんが籠めている気持ちを、
私は精一杯受け止めてあげたい。

ドライヤーで乾かし梳かしているのに、髪質のせいで少しごわつく理美ちゃんの後頭部に手を回す。
撫でるように動かすと、顔を上げて心底嬉しそうに、理美ちゃんは唇の端を持ち上げる。
「好きや・・・ 氷音先輩、好き、大好き! どうしよ、言葉足りひん!」
「ふふ、大丈夫よ、理美ちゃん。 ちゃんと伝わってるから。」

愛しさが溢れ出そうになるのを食い止めるために、理美ちゃんは私の唇で自分の唇を塞いだ。
何度も角度を変えながら、愛情を口移ししてくる。
大切な時間をこうして過ごせることの幸せを、私はぬるい唾液と共に飲み下す。

「じゃぁ、言葉足りない分は手ぇで伝えるで、氷音先輩。」
すっかりとろけた瞳でそう告げた理美ちゃんが、私の返答も聞かずに両胸を優しく鷲掴む。
「・・・うん。」
ぞわりと、血液がそこに向けて集中したみたいな感覚に、少し戸惑う。
気持ちいいというよりは、なんというか、幸せな気分とより強くなっていく鼓動が身体を支配する。

「氷音先輩、さっきよりドキドキしてるんちゃう?」
「・・・うん。」
思ってた事を口に出せばいいのに、喉でつかえて返事にしかならなかった。
「ふふ。恥ずかしがり屋さんやなぁ、氷音先輩は。」
そう言いながら、理美ちゃんの指が私の乳首をそっと撫でる。
「ふっ! ・・・あ・・・」
たった一撫でされただけで声が出てしまったことに、ふと我に返った事で顔が不意に熱くなってきた。
理美ちゃんがそんなところ触るから変な声出ちゃったじゃない!
・・・なんて言える訳も無く、嬉しそうというか、ニヤニヤ笑みを浮かべる理美ちゃんの表情を覗う。
「ええなー。おっきくて敏感なおっぱい。」
「り、理美ちゃん、は、恥ずかし、あ、ちょ、ふぅっ!」
指先で弄ばれ、口を手で押さえてみても、指の隙間から普段出したりしない声が漏れだす。

「我慢せんでええのに。 氷音先輩の可愛い声、もっと聴きたい。」
「や、やあぁ・・・ んぅっ・・・」
意志とは無関係に身体が震え、声が零れ出た。
おっぱいを優しく揉まれながら、指だけでなく舌までもが私の乳首を責めたててくる。
「あむ・・・ はぁ、氷音先輩のおっぱい、素敵やぁ。 ちゅっ。」
「あんっ、理美ちゃん、吸っちゃ、あっ・・・」
理美ちゃんの気持ちがこもった舌先に引き出されて行く快感が、胸から全身へと広がっていく。


 

 

 

 

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