Vier mädchen その19★


「い、痛っ・・・ふ、双葉です! 双葉が・・・持っていたDVDを、見せられまして・・・」
慌てて顔を避けた文兎から出てきた名前が残念なものだったので、つい溜息が出てしまった。
「あいつ・・・本当に駄目ね。」
双葉は1年ほど前から、イワブチの孫会社の社長が奉公だとか言って、うちで働くことになったそうだが、
迷惑と言えるレベルの最低の下女だ。
三流大学を出ただけで家事もろくにできない家政婦など、どこの世界にいようか。

「申し訳ございません。わたくしから指導を・・・」
『そんなの』の先輩である文兎の謝罪を、私は一笑に付す。
「文兎は悪くないじゃない。 それに、文兎を汚すような真似するなんて、どうしてくれようかしら。」
ギリリと、奥歯が、鳴った。

「紫鈴様・・・」
行為を続けようか迷い始めた文兎を促すように、私は椅子から正座している文兎の両腿を跨ぐ位置に移る。
「続けて、文兎。 寒くなってきたから。」
真意を隠したまま告げると、文兎は畏まりましたと述べて私の背中に回した手を腰から肩甲骨へと撫で上げる。

文兎の肌と触れ合っている部分だけが温かく、お互いの鼓動の強さが重なるおっぱいから聞こえてきそう。
「んっ・・・文兎、さっきから、なんか固いのが当たってるんだけど?」
私が指摘したのは、文兎が押し付けるおっぱいの先端が私の肌に当たる感触。
しかし、文兎は悪びれる風も無く、少し高い位置になった私の目を上目遣いで見つめる。
「紫鈴様こそ、ずいぶん前から、乳首がわたくしの事は仰れない状態でございますよ?」
顔が触れ合いそうな位置で身体をくねらせながら、文兎は僅かに唇を妖しく歪ませる。

「文兎、余計な事は言わなくていいの。」
とは言ったものの、私の現状を突きつけられたことで急激に全身が沸き立つような熱に浮かされ始める。
腕がしがみつく程に密着を欲し、身体の奥の方がじっとしていられない。
「ふふ。 紫鈴様、もっと素直になられませ。」
文兎の手が私のお尻にやってきて撫で回し始めると、腰の奥のむずむずが止まらなくなってしまいそう。

「う、うるさい、文兎のくせに・・・ んっ・・・」
弾む吐息の狭間で生まれた文句になど、威厳の欠片もない。
「だって、紫鈴様のお身体は・・・ ほら、正直でいらっしゃいますよ。」
ゆるゆると力を加減しながら私のお尻や太腿を滑る文兎の掌に合わせて、私の腰は意志と無関係に動き出す。

「知らな、こんな、勝手に・・・」
戸惑う私を潤んだ瞳で見つめながら、文兎はゆっくりと、私を乗せたまま膝を広げていく。
「ご安心召されませ。 わたくしが、責任を持ってお導き致します。」
そう耳元で囁いて、耳たぶを甘噛む文兎にどこから反論したらいいのか、思いつく余裕などなかった。
「これから、一番汚れている部分を洗いますので、どうぞお楽になさりませ。」

お尻の方に回されていた両手の内の片方が私の股間へやってきて、繊細な部分だからと丁寧に指が動く。
突き上げられたように腰がわななき背筋が反ってしまう。
「ふぁっ・・・あ、文兎ぉ、そこ、は・・・」
「あはっ。 紫鈴様、わたくしは洗っているだけでございますのに、如何なさいました?」
とぼける文兎の背中に再び爪を立てて抗議するも、円を描くように丹念に動く指の感触が私の思考を溶かす。
「ちょ、と、あん、違、あ、動きがぁ、違うぅ・・・」
膣口と尿道口を掻き回すように蠢く指に、全身を走る快感が脳を薄桃色に染めようと侵食してくる。

「紫鈴様・・・ あんっ、そんなに耳元ではしたない声をお出しにならないで下さいませ。」
表情が覗えないとはいえ、嬉しそうな文兎の声も乱れた吐息に紛れて艶を帯びてしまっているのが、私には
遥か遠い場所から聞こえてきたようにすら思えた。
「あっ、ふあ! そ、そっちまで、洗わなく、て、んんぁ・・・」
私の腰を支えていた残りの手が、肛門を揉み解すように洗うように指を動してきて、さらに甘い声を漏らして
しまった。

「はぁ、紫鈴様。 ここは汚れたままではいけない場所でございますよ。わたくしが、しっかりばっちりねっとり
洗って差し上げますから。」
文兎の宣告通り、指の動きが一気に激しさを増してきた。
「ひぁ! あ、文兎、だめ、だめぇ!」
クリトリスは包皮から零れるほどに擦り上げられ、耐え難いほどの快感が駆け巡る。
「あぁん、紫鈴様、いけません、そんなあられもないお声を出されては・・・」
「ば、ばか、だって、ふぁ、こんなの、はぁっ・・・」
もう、叱責の言葉など浮かんでこなかった。
快楽の蓋によって表に出てくる事を封じられた言葉が、無残に思考の湖底へと沈んでいく。

「さぁ、紫鈴様。 もうすぐ洗い上がりでございますよ。 ほら、ほらっ!」
指が潜り込んできそうな程の場所を、柔らかく優しく丁寧に精密に捏ね回されて、私の身体は瞬く間に深く
高い波間へと翻弄されてしまう。
「やっ、文兎、だめ、ふぁ、あっ、変、に、あ、あはぁぅっ!!」

私が、弾けた。

真っ白な世界の中で、ただ自分という存在にしがみつくように、文兎の身体をきつく抱きしめる。
思考も、呼吸も、時間さえも止まってしまったみたいに、私はひたすらその瞬間を受け止める。

ビクビクと収縮を繰り返す私が脚の上から落ちないよう、文兎は素早く私を抱き締める位置へ腕を回していた。
その微笑みが何を想うのか、今の私には見る事も、見たとしても考える事も出来ないだろう。
荒い呼吸を繰り返しながら、泡にまみれた身体を静かに寄せ合って、文兎は私が帰ってくるのを待っていた。


 

 

 

 

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